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インドのCMは国民だけではなく世界の期待を裏切らないものだった
「CMはその国の国民性を示す」とはよく言ったもので、消費者のニーズに訴えかける必要のあるCMはその国の『お国柄』をよく示しています。
例えば日本だと、「タレント・有名人を起用してなんぼ」と言われています。
「この人が使っているのだから良い製品だ」
「知っている人が宣伝しているので見てみる」
「このタレントさんが好きだからあの製品も好き」
というように、CM=タレント=製品というイメージ付けを主としてることの多い日本のCMだと言われています。
一方アメリカでは、あまりタレントは起用せず、内容を重視し、「いかにその製品が面白いかを表現する」ということに力を入れています。
【日本のCM例】
【アメリカのCM例】
Burger King Commercial 2017 – (USA)
もちろん、日本でもタレントを使っていないCMはありますし、アメリカのCMでも有名人を使ったCMはいくつもありますが、統計的にこのような傾向があると言えます。
そして、一方、『驚きの国インド』のCMはというと……。
製品紹介よりもまず踊ろう「インドのCM」
まずは見ていただきたい、インドの歯磨き粉のCM。
MaxFresh Taazgi Ka Dhamaka with Ranveer Singh & Amit Trivedi
こちらは別バージョンの物。
Colgate MaxFresh: Taazgi Express with Ranveer Singh
皆さん、期待した通り『踊りまくっています』。
製品の説明などよりも、まず「踊る」。
踊りの合間に歯磨き粉の爽やかさをアピールする。
もはや踊りがメインで製品はサブ。
ですが、このCM、あまりにインドらしいと世界中で拡散。
俗にいう「大バズリ」。大人気CMとなったのです。
もちろん、インドのCMは歯磨き粉以外でも踊りまくっています。
例えばこちら、なんのCMだと思いますか?
そうです、実は日産の車のCM。
長い上に歌や踊りやらとまるでMV(ミュージックビデオ)のよう。
ですが、こちらも高評価を得た人気CM。
歯磨き粉に限らず、インドのCMにはとにかく歌と踊りがちりばめられているのです。
CMには国民性を
インドのCMにここまで歌や踊りが入っているのには、インド人がダンス好きなお国柄……という以外にもいくつか理由があります。
まず、インドでは男女の公な場での交際がよしとされていないため、キスシーンなどは禁止となっています。
そのため、恋愛描写を表現するのに「ダンス」という表現を多用するようになりました。
また、インド国内では、基本ヒンディー語と英語が公用語とされていますが、州によっては様々な言葉で話されているということもあり、言葉よりもわかりやすい音楽やダンスが表現方法として多用されてきた背景があるのです。
そのため、インドの映画ボリウッドでも、基本「歌と踊り」がメインで構成されているのですね。
「ムトゥ・踊るマハラジャ」(Muthu)より ティラーナ・ティラーナ (テルグ語)
さらに、インドで最も多く信じられているヒンディー教では、お祭りの期間歌って踊るということもあり、元々幼いころから歌や踊りに慣れ親しんでいるということもあるんですね。
イメージを裏切らないという宣伝
PRというのはよく、「奇をてらった」「意表を突いた」という表現を好む場合が多いかと思います。
ですが、「やっぱりやってくれた!!」という期待を裏切らない表現方法も時には必要です。
今回のインドの踊るCMも「やっぱりインドは踊るCMを作ってくれた」というコメントが多く、世界中の人たちから見られるCMとなったのです。
日本なら雑多な歓楽街やそれに相対する和風のコラボ。
また、京都のCMなんかも「王道」という気がしますね。
こうしたイメージを「使い古されたものだ」と切り捨てることなく、使うことによって、いつしか世界中の人から反響を呼ぶCMができるのかもしれません。
もちろん、我々日本人の感覚に合った表現方法というのは、それだけでも売り上げを10倍20倍にもしてくれる可能性があります。
「王道になるからには理由がある」という定義の元、製品の宣伝表現も考えてみると良いかもしれませんね。
インフルエンサーマーケティングにも王道は使えるかも!?
インフルエンサーマーケティングはネット・SNSの普及がもたらした新しい、PR方法。
それゆえ、動画でも画像でも表現することがき、その方法も多種多様。
ターゲットとする国の国民性や、王道をしっかりと詰め込んだ動画や画像で、インフルエンサーマーケティングを行ってみるのも面白いかもしれません!