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支援の現場から 公開日:

新規注文が約150件増。
食品ECが見直した
「初回購入の壁」

送料無料のお試し商品を、お客様の声から再設計。前年同月351件から502件へ、新規注文が増えた支援事例です。2025年1月と2026年1月の比較(+151件、約43%増)で、広告・クーポンなども並行した取り組みです。

食品のお試しセットと配送を通じ、初めてのお客様が購入に進むイメージ
本記事用のイメージイラスト

広告を増やす前に、「買う手前」を見にいく。

サイトには来てくれている。商品も見てもらえている。それなのに、初めての注文がなかなか増えない。広告費がかさむほど、「もっと安くしないと売れないのか」と迷ってしまうことがあります。

今回取り上げる食品EC企業Aも、新規顧客の獲得に課題を抱えていました。現場担当者の振り返りによると、支援ではまず、購入後の関係づくりやリピートにつながる仕組みを整備。そのうえで次の相談となったのが、新規獲得コストの見直しでした。

当時のCPAは7,000〜8,000円。CPAとは、ここでは新規顧客を1件獲得するためにかかる広告費のことです。商品を一度買ってもらうための負担を、もう少し抑えたい。そこから、流入経路と実施中の施策を一つずつ洗い出しました。

見えてきたのは、商品ページへの流入はできているものの、そこから購入に進む割合に改善の余地があるという状況です。どの広告から呼ぶかだけでなく、初めてのお客様が、何を見て、どこでためらうのか。その確認に軸足を移しました。

流入から再購入までの4段階の図。01 知ってもらう(広告・検索・SNS)、02 商品を見る(魅力・量・使う場面)、03 購入を決める(送料・総額・届く日)、04 また買う(満足・次の提案)。今回の着眼点は03の購入を決める段階。

今回の着眼点は「商品を見た後のためらい」。図は編集部による整理で、実測の流入人数を表していません。

支援先の社名・ブランド名・商品名は匿名化しています。経緯は成功事例ライブラリと現場担当者の補足、成果は2026年1月の月次報告をもとに編集。CPAの記録には、集計期間・費用範囲の詳細はありません。

「安くする」だけではなく、「まず試せる」商品へ。

初めて利用するお店では、味も量も、届いたときの満足感もまだ分かりません。気になる商品があっても、送料を加えた総額を見ると、最初の一歩をためらうことがあります。

そこで企画したのが、送料無料のフロント商品です。フロント商品とは、まだ購入したことのない方が、お店の魅力を試しやすいように設計する「入口の商品」。今回は、比較的手に取りやすい価格帯の食品セットに、未購入者向けクーポンも組み合わせました。

ただ送料を無料にするだけなら、施策そのものは珍しくありません。この支援で大切にしたのは、セットの中身まで、お客様の目線で考え直すことでした。

商品セットの考え方の比較図。企業側だけで決めると、売りたい商品を詰め合わせ、在庫や値段が中心になる。お客様から考えると、今試してみたいセットにし、購入履歴・アンケート・季節の用途から内容と量、送料込みの総額を設計する。

既存のお客様は、どの商品を買っているのか。自宅で楽しむのか、贈り物なのか。その季節に、なぜそれを選ぶのか。担当者の補足では、実際の購入履歴やアンケートを確認しながら、毎月の商品企画を見直していったといいます。

たとえば「初めてなので、食べ切れる量で試したい」「調理の手間を減らしたい」といった視点です。これは編集部による設計例ですが、値段だけでは見えない購入理由を探す助けになります。

新規注文は、前年同月より約43%増。入口を見直した先に、変化がありました。

2026年1月の月次報告では、送料無料セットの販売、未購入者へのクーポン、Google広告の拡大などが並行していました。その月の変化を、対象の異なる数字を分けて見てみます。

新規の注文が増えた

新規注文件数の横棒グラフ。2025年1月は351件、2026年1月は502件。前年の同じ月から151件増加し、約43%増。

新規注文件数は、2025年1月の351件から2026年1月の502件へ。前年の同じ月から151件、約43%増えました。

出典:企業A「2026年01月度 月次報告」。前年比は(502−351)÷351≒43.0%。横棒は0件を起点とする同一縮尺。前月比ではありません。

サイト全体の購入率も改善

サイト全体のCVRは0.91%で、前年同月比+14.6%でした。

原資料のGA4集計値。14.6ポイント上昇という意味ではありません。

入口の商品に反応があった

フロント商品ページのCVRは6.95%でした(対象ページのセッション:2,691)。

2026年1月のページ別報告値。新規客だけのCVRではなく、サイト全体との単純比較もできません。

何が分かり、何はまだ分からないか。

新規注文の増加とCVRの改善は確認できました。一方、広告流入の増加、クーポン、商品内容、季節要因などが重なっています。151件すべてが送料無料によって増えた、とは切り分けられません。

また、502件は新規注文全体の記録です。すべてがフロント商品の注文だったとは扱っていません。施策後のCPAも資料にないため、「獲得単価が何%下がった」とは記載していません。

伸びた数字だけで評価を終えないことも大切です。同月の平均購入単価は、前年同月比で8.8%下がっていました。試しやすい商品で入口を広げても、送料や値引きを負担し続けて利益が残らなければ、長く続けられません。

月次報告でも、次の課題は2回目の購入への転換でした。新規獲得の成果を、その後のリピートと利益へつなげられるか。ここまで見届けるのが、LTVを軸にした運用です。

作って終わりにしない。お客様の「今」に合わせて、見直す。

お試しセットを一度作り、そのまま何か月も置いておく。売れなくなると、値下げだけを繰り返す。現場では、こうした停滞も見られます。けれど、選ばれない理由が内容や季節とのずれにあるなら、価格だけを変えても解決しません。

今回の支援では、担当者と購入状況やお客様の声を共有し、季節に合わせてセットを考え直しました。「毎月、必ず全部の商品を変える」ことが目的ではありません。反応を確認し、変える理由を持つことが大切です。

商品企画の見直しの4ステップ。01 知る(何が、なぜ買われたかを購入履歴・アンケート・問い合わせで確かめる)、02 組み立てる(季節・量・使い方・送料を含む総額を考える)、03 確かめる(流入経路ごとに商品閲覧・カート・購入を追う)、04 次へつなぐ(購入後の反応と再購入、利益を見て次の企画へ戻す)。

現場担当者の補足をもとに、編集部が運用の流れを整理した図です。

たとえば注文が増えたときも、広告からの訪問が増えただけなのか、同じくらいの訪問で購入率が上がったのかを分けて確認します。逆に売れないときは、送料の見せ方、内容量、届く日、商品説明、購入手続きのどこにためらいがあるかを探します。

数字を報告して終わるのではなく、担当者と意味を共有し、次に変える箇所を決める。その繰り返しが、思いつきの値下げや広告追加を減らし、改善の精度を上げていきます。

自社で取り組むなら、送料無料の商品を作る前に確認したい4つのこと。

まずは、今ある商品ページを初めて買う方のつもりで見直してみてください。「いくらで、何が、いつ届くか」が迷わず分かるか。それだけでも、改善の入口が見つかります。

1. 集客と購入率を分けて見る

CVRは、訪問や利用者のうち購入につながった割合を示す指標ですが、分母の定義はレポートによって異なります。比較するときは、同じ指標・同じ対象にそろえます。広告からの新規訪問と、既存顧客のメール経由の訪問を一緒にすると、原因を読み違えることがあります。

GA4の購入経路レポートでは、商品表示、カート追加、購入手続き、購入までの離脱を確認できます。イベント計測が正しいことを確認したうえで、止まっている段階から点検しましょう。

Google公式:購入経路レポート

2. お客様が試したい理由を言葉にする

人気商品を集めるだけでなく、初めての方にとっての量や使う場面まで考えます。「何人で食べるか」「保存場所はあるか」「調理は簡単か」。購入履歴に加え、アンケートや問い合わせで分からない部分を補います。食品なら、保存方法、賞味期限の目安、原材料・アレルゲン情報など、判断に必要な情報も見つけやすくしておきます。

3. 送料だけでなく、支払総額を分かりやすくする

初回限定か、対象地域はどこか、冷凍・冷蔵便の扱いはどうなるか。対象外の条件があるなら、購入ボタンの近くでも分かるようにします。クーポンの入力が必要なのか、自動で適用されるのかも確認してください。

同じ負担額でも、値引きと送料無料で反応が変わることは、今回の現場経験での着眼点です。ただし、どの商品でも送料無料の方が優れるとは限りません。比較するなら、商品内容・実質的な支払総額・配信対象などをできるだけそろえ、違いを確かめます。

4. 初回の注文と、その後の利益をセットで見る

初回のCPAだけでなく、商品原価、店舗負担の送料、梱包・決済費、値引きを含めて判断します。送料を店舗が負担する分は、広告CPAの数字に表れないこともあるからです。

初回購入と購入後の2段階の確認図。初回購入では新規注文・CVR・CPAと、送料や値引きを含む採算を見る。購入後では満足・再購入までの日数と、同じ期間での累積利益を見る。

同じ商品・獲得経路・購入時期の顧客群で追跡する考え方。将来のリピートを前提に、無制限の赤字を許容するものではありません。

一定期間内の再購入率や累積利益を確認し、継続・見直し・停止の条件を先に決めます。初回購入から90日で比較するのは一つの例ですが、食品の消費周期に合わせて期間を選び、観測期間が短い新規顧客と長い既存顧客をそのまま比べないようにしましょう。

購入後の案内も、売り込みだけではありません。おいしい食べ方や保存方法を伝え、実際に楽しんでもらう。その先の接点づくりは、関連コラム「サンクスメールを、購入後の安心へ。」でも紹介しています。

送料無料フロント商品の、よくある質問。

送料無料にすれば、必ずCVRは上がりますか?

必ず上がるわけではありません。送料がためらいの一因でも、商品内容や配送日、信頼感、手続きに課題が残ることがあります。自社の離脱箇所とお客様の声を確認して判断します。

フロント商品は、一番安い商品でよいですか?

安さだけでは決めません。お店の魅力が伝わり、初めての方が試しやすく、継続できる採算であることが大切です。量や用途、送料を含む総額まで設計します。

毎月、商品を入れ替える必要がありますか?

今回の現場では毎月企画を見直しましたが、全社に一律の入れ替えを勧めるものではありません。季節や需要、在庫、購入状況を確認し、変える理由がある部分から調整します。

新規注文が増えれば、CPAも下がったと言えますか?

言えません。費用や獲得対象、計測期間をそろえた比較が必要です。この事例では施策後のCPAを確認できていないため、改善額・改善率は掲載していません。

事例のCVR6.95%を目標にすればよいですか?

この値は特定の商品ページの2026年1月の報告値です。商品、訪問者、流入経路、指標の定義が違うため、全サイト共通の目標にはできません。まず自社の同じ条件で改善を確認します。

来てくれているのに、買われない。その理由を、一緒に見つける。

広告、商品ページ、送料、購入後の接点。点在している数字と現場の感覚をつなぎ、次に何を変えるかを、担当者の方と一緒に考えます。

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根拠資料と編集方針

事実、担当者の振り返り、編集部の提案を区別しています。

  • 企業A:社内成功事例ライブラリ4行目、および「2026年01月度 月次報告」の全体KPI分析・顧客構造分析・議事録。社名・商品名・非公開資料のリンクは掲載していません。
  • 現場担当者による2026年10月30日の補足。LTVを軸にした支援の順序、CPAの課題、購入履歴・アンケートを使った毎月の商品設計に反映しています。
  • Google アナリティクス ヘルプ「購入経路レポート」:自社で購入までの離脱を点検する方法の参考です。

外部資料確認日:2026年10月30日。複数施策が並行した事例であり、単独施策の因果や将来の成果を保証するものではありません。イラストは説明用のイメージです。

この記事の書き手

山仲 PRETAKE編集部

PRETAKEの支援記録と現場担当者の補足をもとに、購入後の顧客体験と数字の読み方を整理しています。

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